マネジメントの方法として、部下を褒めて伸ばすというのは基本ですよね。マネジメントの本にも書いてありますし、昔から言われていることです。確かに有効な方法ですが、褒め方を間違えると逆効果になるので注意しましょう。
特に、日本人は謙虚な民族ですから、褒められることに抵抗を感じる人も少なくありません。また、あからさまなお世辞を言ってしまうと、逆に失礼に捉えられますから信頼関係が崩れる可能性があります。
なので、部下を伸ばすために、正しい褒め方のスキルを身に付けましょう。
「褒める」とは、どういう意味なのか?
褒めると似たような言葉で、「お世辞」というのがありますね。「褒める」と「お世辞」は、似ていますが意味が全く異なります。この違いを知っておかないと、相手の気を悪くしてしまうかもしれません。
- 褒める:良い部分を称賛する
- お世辞:機嫌を取るための口先だけの称賛
上記のように、2つの言葉の意味はまったく正反対だということが分かります。つまり、本当に良いと思った部分を称賛するのが褒めることで、相手を操作するために口先だの嘘をつくのがお世辞ということです。
だから、相手にお世辞だと捉えられると、かなり悪い印象になってしまいますね。積極的に褒めているのに相手の反応が悪い場合は、お世辞だと思われている可能性が高いです。自分の伝え方次第で相手の気持ちが決まってしまうので、十分に注意してください。
部下のモチベーションを高めるための褒め方
具体的に褒める
先述したように、適当な褒め方をしてしまうとお世辞だと思われてしまいます。なので、しっかりと相手を観察して、本気で褒めることを意識しましょう。効果的なのは、具体的に褒めるということです。
褒める部分が具体的であるほど、信憑性が高くなります。たとえば、「最近、頑張ってるね」というよりも、「いつも遅くまで残業してるし、頑張ってるね」と言った方が信憑性があります。女性であれば、「そのネイル綺麗だね」というよりも、「そのネイル、ラインストーンがカワイイね」の方が嬉しくなるはずです。
このように、褒め方が具体的であるほど、その人のことを見ているという印象となります。嘘っぽくなりませんから、効果的なんですね。褒め言葉がお世辞だと思われるのは、「誰にでも同じこと言ってるんでしょ?」と思われるからです。
しかし、具体的な部分を褒めることで、その人自身に向けられた言葉だと分かります。なので、そこに信憑性が生まれて、受け入れやすくなるということですね。
3回以上褒める
ただ、どれだけ具体的に褒めたとしても、お世辞だと思ってしまう人は多いです。日本人は謙虚な国民なので、褒められることに慣れていないからですね。だから、本当に褒めていることを分かってもらうためには、何度も褒め言葉を伝えることが大切です。
つまり、会うたびに同じ褒め言葉を伝えるわけです。毎回同じ部分を褒めておけば、相手もただのお世辞だとは思いません。徐々にその気になってきますから、褒め言葉を受け入れてくれるということですね。
なので、最低でも3回以上は、同じ部分を褒めるようにしましょう。話す回数が多いほど信頼関係を築きやすいですし、自分の言葉を受け入れてくれるはずです。また、毎回部下のモチベーションを高めることにもなるので、仕事の効率が圧倒的に良くなります。
表面的な部分を褒める
また、人間性を褒めるよりも、表面的な部分を褒めた方が受け入れやすい傾向があります。「君は本当に器が大きいね」とか「すごく有能だね」などという褒め方だと、大げさすぎて照れてしまう人が多いです。
それよりも、もっと表面的な部分を軽く褒めた方が良いですね。たとえば、「外見」や「行動」、「能力」などの部分を褒めます。
「朝早く出社して偉いね。」
「今日のプレゼン良かったね。企画力がスゴイよ。」
上記のような感じで褒めれば、軽い感じで受け入れやすいです。このように、表面的な部分を具体的に褒めることを意識してみてください。
ダブルで褒める
どうせ褒め言葉を伝えるのなら、一度だけで終わらないようにしてください。大抵の人は、最初に褒め言葉を伝えた時に、「いやいや、そんなことないですよ」と謙遜をするはずです。ここで終わってしまったら、単なる社交辞令で済まされてしまいます。
だから、さらに一歩進んで、もう一度褒め言葉を伝えるのが効果的です。つまり、「いやいや、そんなことないですよ」と謙遜されたなら、「そういう謙虚なところも良いよね。」と褒めてみるわけです。
相手からすると二度も謙遜することは出来ないので、二回目は「ありがとうございます」と受け入れてくれるでしょう。また、予想外のところで褒められることで、強烈に心に響くようになります。部下も喜んでくれるはずなので、やる気を高めてくれると思います。
以上、部下の能力を伸ばす褒め方を紹介しました。褒めるという行為は、モチベーションアップに最も効果的な方法です。ただ、やり方を間違えると逆効果となるので、慎重に相手を褒めるようにしましょう。